2008年05月20日

「グレン・グールド」に思うこと

「グレン・グールド」に思うこと

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080501-00000002-omn-ent

5月1日10時55分配信オーマイニュース久々に、ある場所でまとまって往年の天才ピアニスト、「グレン・グールド」の音楽を聴く機会があった。グレン・グールドは1932年、カナダのトロントに生まれた。23歳でクラシック界に衝撃のデビューを果たした。彼の弾くバッハは「バッハを現代によみがえらせた」と言われる。その若さと才能があふれる名演奏の評判は世界的に非常に高い。1956 年にはクラシックレコードの全世界での売り上げベストワンを記録し、同年にはその年だけで200回以上の演奏会を催している。しかし、1964年、人気の絶頂期に彼は「ライブはやめた。」と宣言し、それ以降はもっぱらレコードのみによってその演奏活動を行っていた。彼には面白いエピソードが数知れずある。例えば、極度の潔癖症。寒がりで、夏でも黒一色の厚手のコートに毛皮の帽子で身を包んでいた。握手さえ避けていたという。電話の向こうでせきをする声を聞いたとき、「風邪がうつる」といって、電話を切ったこともあったらしい。いつもポーランド産のミネラルウオーター、大量のビタミン剤を持ち、絶対に水道水を飲まない。そのため、ロシアをはじめとする数々の公演で、演奏後の夕食会を断ったこともあった。食べ物はビスケット、ジュース、サプリメントくらいしか食べない(サプリメントを「食べる」というのは抵抗があるが、彼の場合はあたっているかもしれない)。演奏中に片手が空くと、空いたほうの手で指揮を始める。ピアノと一緒に声を出して歌う。父親が作ったという座ればキィキィいう極端に座高の低いイスを演奏用のイスとしていて、ほかのイスは使わない。そのため、彼のレコードにはこのイスの音も入っている。もちろん、演奏会での彼の姿は子供がピアノの前に座っているようだった、という。彼の「指揮癖」のため、レナード・バーンスタインは彼との競演をボイコットしたこともあるという。もちろん、ヘルベルト・フォン・カラヤンもピアニストが指揮をする姿を見て、「指揮台に上ったら。」と言ったという。とにかく、相手がバーンスタインでもカラヤンでも、自分のスタイル・主張を曲げない。「巨匠」と言われる人たちを困らせた逸話には事欠かない。しかし、その一方でバーンスタインは「グールドより美しいものを見たことがない」とも言って、賛美を惜しまない。そして、1982年、わずか50歳で脳溢血でこの世を去った。生涯独身で犬だけが伴侶だった。彼がライブ演奏から引退するとき、次のように語ったことが記録に残っている。「聴衆の中には、ピアニストがいつ失敗するだろうかと手ぐすね引いて待っている連中がいる。彼らはローマ時代に闘技場に集まった群集や、サーカスの綱渡り芸人が足を踏み外すのを心待ちにする観衆と同じだ。その結果、演奏家は失敗を恐れるあまり、いつもコンサート用の十八番のレパートリーを演奏することになる。すっかり保守的になって、もしベートーヴェンの3番が得意曲だったら、4番を試してみるのが怖くなるというように」天才ではあるが、偏屈で頑固でひきこもりで偏食で不健康で「若死に」することをなんとも思わない若者。もし、彼からピアノを奪ったら、その姿は現代のネットの向こう側にいる若者の多くに、なんと似ていることだろう。しかし、彼は一方で自分のピアノで独特な解釈の音楽を世に多く送り出し、今でも絶賛されている。あまりに独特なので、その当時の巨匠といわれている人たちには「困ったちゃん」と思われていたが、一方で純粋に音楽を好きだったことは誰にも引けをとらない。演奏の細かいところでのあら捜しだけが楽しみ、という暗い性格の聴衆に嫌気が差した彼は、「これなら文句ないだろう」と、レコーディングにのみ精進した、という気持ちもわからないではない。音楽を聴く、音楽を楽しむ。そのためにある音楽なのだ。演奏の少々の間違いなどは、グールドでさえときどきあった。あら捜しばかりが先行して、本当に大切なこと、本当に楽しいことが置き去りにされている。その現状の「クラさ」。昔も今も、また別の分野でも、結局はあら捜しをすることが生きがいになっている人はとても多いのではないか。ネットのあまねくいきわたった今も、ネットのなかった時代も、この点については、どの国の人も同じなのだろうか。もっと音楽を楽しみ、もっと人生を楽しむほうが、いいのじゃないか。彼の姿と演奏は、YouTubeにもあがっている。「Glenn Gould」で弾くと、いや、引くと、多くの映像を見ることができる。(記者:三田 典玄)

(引用元:Yahoo[オーマイニュース])

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